2015年4月1日水曜日

核分裂(解答編)

それでは、例題を解きながらエネルギー問題を考えてみましょう。

【例題】核分裂
ウラン235の核分裂によって、2.0X108 eV のエネルギーが解放される。ある原子炉では毎秒0.47mgのウラン235の核分裂が起こっており、このとき解放されるエネルギーの10%が利用されているとする。

(1) この原子炉の熱出力は何kWか。モル分子数を 6.0X1023 とし、電気素量を 1.6X10-19 C とする。

まず、ウラン原子1個のエネルギーを求めてみましょう。
つまり、ここでは単位をeVからJ(ジュール)に変換するという意味になります。

2.0X108eV × 1.6X10-19C = 3.2×10-11J ←ウラン原子1個のエネルギー

次に、毎秒何個のウラン原子が核分裂しているか求めてみましょう。
毎秒0.47mgが核分裂するので、

0.47×10-3g ÷ 235 = 0.2×10-5mol/s
1molが6.0X1023個だから、
0.2×10-5 × 6.0X1023 = 1.2×1018個/s

よって、原子炉の熱出力は10%が利用されることも考慮して、

3.2×10-11 × 1.2×1018 × 0.1 = 0.384×107J/s
ここで、1J=1W×1Sより、
0.384×107J/s = 0.384×107W = 3.8×103 kW  ← 答え

(2) (1)で得られた出力を1gあたりの発熱量が 104 cal の重油で得ようとすると、毎秒何gの重油が必要か。

(2)は、1cal=4.2J を知っていないと解けないですね。単なる知識を問う問題か、あるいは原子力発電と火力発電を比較するための問題か。。。??
とりあえず、試験として解答すると、
104 cal = 4.2×104 J なので、
3.8×106 W ÷ 4.2×104 = 90 g/s← 答え


(3) 太陽光線を垂直に受ける 1 cm2 の面に注がれるエネルギーが毎分1.9 cal であるとすると、(1)の出力を太陽熱で得るには、何 m2 の面積が必要であるか。
解き方は(2)と同じでいいでしょう。
まず、単位を変更しておいて、1.9 cal = 1.9 × 4.2 = 7.98 J/min = 0.133 J/s *毎分に注意!
よって、3.8×106 ÷ 0.133 = 28.57×106 cm2の面積が必要。
1cm2 = 10-4 m2 だから、
28.57×106 cm2 = 2.9×103 m2 ← 答え


まとめてみると、

原子力発電火力発電太陽光発電
1秒間に3800kWを得る
のに必要な材料
ウラン 0.47 mg重油 90 g太陽光パネル 2900 m2
*54m×54m=2916 m2

この表だけ見てみると、原子力に比べて、火力は10万倍以上の重油が必要だし、太陽光は1辺50m程のパネルが必要で、確かに原子力は効率がいいのはよくわかります。
しかし、危険性や後処理の事を考えると、原子力は現在の通り大問題です。

こうして考えてみると、発電は原子力からの転換が必要でしょう。
ここでは、火力と太陽光だけですけど、風力や水力もあるわけで、それらを組み合わせれば可能でしょう。
また、新たな技術革新もなされるでしょうから、産業の活性化にもつながるでしょう。
ちなみに、塾の電飾は太陽光発電で光っていますよ。パネルは20cm×20cmくらい。
風力発電キットも活躍していました。強風で壊れましたけど。

学校で習うことを現実に沿って考えてみると勉強も多少は面白いでしょう[emoji:i-198]

0 件のコメント:

コメントを投稿