しかし、いつまでも学校の先生の目を盗み通せるはずもありません。
しょせん中学生です。
ある日いつもの様に駄菓子屋でパンを買い、早弁を済ませて何事もなかったように廊下を歩いていると、すれ違った先生から、「おい、お前ちょっとまて。」と山田君が呼び止められました。「お前、パンを食ったな」と先生に見抜かれてしまいました。よく見ると山田君の口にパンのクリームがベッタリと付いているではありませんか。
なんて脇の甘いことでしょう。
その日は1学期最後の日で明日から夏休みというのに、私も同罪となり放課後残って教室の掃除を命ぜられるのでした。
私の世代は第二次ベビーブーム世代で、子供の数がやたらに多く中学校の教室が足りなくなったようで、廃舎予定の木造校舎を急遽使用することになり、私の教室はその木造校舎二階にありました。
こっぴどく怒られたこともあり最初は真面目に掃除しようとしたのですが、木造校舎なため水道が1階にしかありません。”水まいて濡らしておいたら、掃除したみたいになるやろ”ということで仕方なく、バケツに水をくんで1階から2階へ運ぶのですが、バケツは重いし露で蒸し暑いしですぐにヘトヘトに疲れてしまいました。
床を見てみると、木造校舎だというのに水はけが悪く水が溜まってしまっています。
それを見て山田君が言い出しました。
「水をいっぱいまいて、水浸しにしてやろか。」
それから、一心不乱に教室に水をまき続けました。
やりがいを見つけると、嫌な掃除が楽しくなる単細胞の二人でした。
「教室、腐るで。」、「夏休み明けたら、教室に穴あいてるんちゃう。」
と大笑いしながら、先生に掃除終了の報告をし、最後の1学期を終えたのでした。
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